【本】インドの衝撃

INdiaインドの衝撃

NHKスペシャル取材班 文春文庫 2009/11

2007年のNHKスペシャルスペシャルの書籍版。ちょうど、一人あたりGDPが1,000 USDを超え、インドのイメージが変わり始めた時の本。読み返すと、中国だけでなく、インドも90年代初頭に社会主義に見切りをつけ、開放経済に舵を切っていることを確認できます。

インド工科大学を頂点とした教育改革が起点になっていること。貧しい生徒にも、初等教育の機会が与えられたのは、この半世紀ほどのこと。本書にも、優秀なインド人経営者が出てきます。その後10年で、ソフトバンクの重役や、マイクロソフトの社長がインド人になり、その実力が可視化されました。

一方、貧困問題についての切り込みは、当時の視点としては浅く、これは別の本で補う必要があると思いました。

政治面では、98年の核実験とその後の交渉が中心に描かれています。当時は南アジアが核軍縮の焦点でしたが、今や中東ですね。アメリカの国際政治へのコミットメントの低下を感じました。

私がデリーに行った91年にも、さんざん驚かされましたが、これからも、驚かされ続けることでしょう。

では。