入山 章栄 日経BP社 2015/11
早稲田大学ビジネススクール准教授による経営学の最新情報。もう、MBA取得してから15年になりますので、よいリハビリになりました。
素朴な点だが、新鮮だったのが、「競争の型」の視点。p.45 3つの競争の方とは、
- Industrial Organization 型
- チェンバレン型
- シュンペーター型
戦略のタイプとは、
- SCP戦略
- RBV戦略
- リアル・オプション戦略
この2軸で作ったマトリックスが、p.49 に掲載されており、わかりやすかったです。p.53では、このマトリックスをソニーに当てはめて分析しています。
第6章では、組織の知を「コンポーネントな知」と「アーキテクチュアルな知」に分類。
Component Knowledgeとは、製品・サービス開発における「特定部分の設計デザイン」についての知識。
Architectural Knowledge とは、部品を組み合わせてひとつの最終的にするための知識。
面白いのは、標準化がすすんで、「ドミナント・デザイン」が確立されると、前者が重要になること。標準が確立した業界にいる組織が、Architectural な知を発展させる難しさを説明しています。
第7章では、創造性とイノベーションを区別しています。創造性を発揮するためには、ウィークタイズが重要。一方で、アイディアは実現される必要があり、今度は、社内の人脈が重要になってきます。横軸が、縦軸に引き渡されると、革新的な商品が出てくるわけですが、その橋渡しが難しいところです。
第13章は、ダイバーシティ。ダイバーシティは、2種類ある。ひとつは、タスク型の人材材多様性。もう一つは、デモグラフィー型の人材多様性。前者は、実際の業務に必要な「能力・経験」の多様性。後者は、性別、国籍、年齢などのその人の「目に見える属性」についての多様性。
興味深いのは、前者は、組織のパフォーマンスにプラスの効果をもたらすのに対し、後者は影響がないか、むしろマイナスになる点。フォルトラインを起こさないための工夫にも触れています。
というわけで、私の知識もだいぶ錆びついてきています。時々、最新の研究家成果に触れるのはいいことですね。
では。