
ポルトガル語でパンはpão。ポルトガル人は鉄砲とともにパンを日本にもたらした。市場で気づくのは、パンがフランスなことだ。ドイツのライ麦パン(黒パン)がない。オランダはドイツに近いので、黒パンが多い。フランス人オランダ在住者からの不満で多いのは「おいしい」パン屋が少ないことだ。
ポルトは北緯41度。函館と同じ。しかし、メキシコ湾流のおかげで、真冬でも氷点下になることはなく日中は10+度まで気温が上がる。小麦(白パン用)がよく育つ。ドイツはフランスと国境を接しているにもかかわらず、気温が低い。ライ麦(黒パン用)がよく育つ。
フランスでは、白パンが普及したお陰で、バゲットからクロワッサンまで芸術的なおいしさのパンが普及。軽くて良い香のパンができたおかげで、食事の補助として、チーズやワインと楽しむ文化ができた。
一方、ドイツでは、黒パンが普及したので、主食としてスープといっしょにソーセージを食べる文化になる。
カステラの語源は、カスティーリャ王国のポルトガル語発音であるCastellaなのだとか。その起源の一つとされる、pão de ló(卵黄のパン)を食べた。とても素朴な味。ポルトガルはフランスの影響を受けて、パンを進化させたのがわかる。
気候や地理的要因が農業、ひいては食文化の形成に大きな影響を与え、それがカトリック圏とプロテスタント圏の食習慣の違いと相関しているのは興味深い。メキシコ湾海流のせいで、これほど地域色が変わったかと思うと興味深い。