
腹が減ったので、ボリャン市場へ。もうここは、メルカルドではなく「マルシェ」になっていた。きれいい整備された建物の中に、美しいショーケースが並ぶ。売っているものは観光客向け。ポルトガル名物のエッグタルト、タパス、チーズ、ワイン、フレッシュジュースなど。ウェットマーケットの生臭さはゼロだ。
アテネやブダペストも観光地だが、ここまで観光客におもねってはいなかった。業者は白衣を来て肉や魚を裁き、地元の小売店も買いに来ていた。プロの業者の顔があった。
しかし、ポルトの市場は、この国の課題が凝縮されていた。彼らは400年前は欧州トップの国だったので、ヨーロピアンなデザインを具現化するのはお手の物。一人あたりGDPはオランダの半分なので、人件費は半額でお手頃価格の料理を提供できる。金沢的とでも言おうか。京都ではないが小京都の雰囲気を割安に提供することで生計を立てているのだ。
あえて「横着」というべき態度が国を衰退させる。過去の王様が作った観光資源をテコにして、ヨーロピアンなお店を観光客向けにやれば、手軽にお金を稼げる。しかし、それをやり始めたら、競争力のある国に数100年負け続けることになる。
ウクライナ戦争移行、富国強兵が復活した。競争力のある産業を興し、余剰資金を蓄積して、思い切って科学技術に投資しなければ、子供の代に富を残せない。しかし、一度贅沢を覚えると、ワークライフバランスとか言い出して、国民は働かなくなる。資金のあるリーダーがリスクを取らずに、観光客向けの店をやりだしたら黄信号なのだ。