Pivotで藤野さんが、オルツの粉飾疑惑を解説してました。素晴らしかったので、ご覧ください。
以下、私のメモです。
藤野氏は今回の疑惑を過去のFOI粉飾事件との類似点を指摘。新興市場の信頼性低下を憂慮し、場基準の厳格化と経済犯罪に対する刑事罰をより厳しくすることを提案しています。今後の再発防止のために、関係者の責任についても解説しています。主な論旨は以下のとおりです。
- FOI事件は、2008年のリーマンショック後、日本のIPO市場が7年半から2年間ほぼ機能しなくなるほどの大きな影響を与えました。
- FOI事件を受けて、ゲートキーパーである、東京証券取引所、監査法人、主幹事証券の調査強化など、様々な対策が行われました。
- オルツ粉飾疑惑が本当であれば、新興市場やIPOに対する信頼性が失われ、新興市場での資金調達の低迷や市場の下落といった影響が出る可能性があります。
- また、オルツ粉飾疑惑を受けて、ただでさえ問題視されている新興市場の上場基準、特に上場廃止基準の引き上げに加え、上場基準そのものも相当引き上げる必要があるかという議論になるだろうと述べられています。
- 藤野氏は、オルツ粉飾疑惑に関して、主幹事証券会社(大和証券)、ベンチャーキャピタル(ジャフコ、SBIインベストメント)、株主(キーエンス、SMBC)など、プロフェッショナルである関係者たちがなぜ見過ごしてしまったのかが謎であると述べています。創業当初はクリーンで、粉飾がここ数年でエスカレーションした可能性も示唆しています。
- 再発防止策として、上場基準の引き上げや、売上実査・循環取引チェックの重要性が挙げられています。また、上場監査ができる監査法人を証券取引所が認定する仕組みも提案されています。
- 藤野氏は、経済犯に対する日本の刑罰がアメリカに比べて緩すぎるとし、懲役刑を現状の3倍から5倍程度に引き上げるべきだと主張しています。FOI事件での社長と専務の懲役3年は短すぎたという見解です。
- 今後のオルツ疑惑への対処として、第三者委員会によるファクトの明確化、監査法人の厳格化、刑事罰の議論が進めば、資本市場へのダメージを緩和できる可能性があると述べています。また、業界全体が真摯に反省し、関係者が逃げ隠れせずに議論することが重要だとしています。
- 藤野氏は、今後の新興市場の改革において、上場基準の過度な引き上げには反対であり、時価総額基準よりも流動性基準の重要性を強調しています。流動性向上のためには、浮動株の増加、IRの改善、投資に値する利益や配当を出すといった本質的な努力が必要であると述べています。
FOIとは。(当時情報)
- 正式名称: 株式会社エフオーアイ (FOI Corporation)
- 設立: 1994年10月1日
- 本社所在地: 神奈川県相模原市中央区小山1-1-10 (当時)
- 代表者: 奥村 裕 (IPO当時)
- 業種: 半導体製造装置メーカー (半導体/その他電子部品・製品)
- 事業内容: 半導体製造装置の研究開発、販売及び保守・メンテナンス
- 資本金: 94億8592万4600円 (2009年11月20日時点)、6,846,674,000円 (2009年9月30日現在)
- 上場市場: 東京証券取引所マザーズ
- 証券コード: 6253
- 上場日: 2009年11月20日
- 上場廃止日: 2010年6月15日
- 公募価格: 850円
- 初値: 770円
- 発行済株式総数: 26,743,300株 (上場廃止前)、26,743,300株 (上場時)
- 従業員数: 207名 (2009年12月末時点)
- 粉飾の内容: 架空売上の計上。平成21年3月期の売上高約3億1,956万円を約118億5,596万円と記載した有価証券届出書を提出した。売上の97%が粉飾であったとされている(最初のレポートより)。
- 事件発覚: 2010年5月12日に証券取引等監視委員会から強制捜査を受ける。
- その後の経緯: 2010年5月21日に東京地裁に破産手続開始申立てを行い、同年5月31日に破産手続開始決定。2014年9月24日に法人格消滅。元社長らが金融商品取引法違反で逮捕・有罪判決を受けている。
- 関連する企業・人物:
- 主幹事証券: みずほインベスターズ証券(当時、現在の水戸証券の一部)
- VC等株主 (IPO時): インベスターインベストメントエフオーアイビーヴィ、株式会社アクアRIMCO、アント・キャピタル・パートナーズ株式会社、きずなキャピタルパートナーズ株式会社、モルガン・スタンレー証券株式会社、株式会社TNPパートナーズ、ePlanet Ventures、三井物産グローバル投資株式会社、安田企業投資株式会社、株式会社アイビス・キャピタル・パートナーズなど
- 取引先 (粉飾に加担): 富士通株式会社の担当者
- 監査法人: ソースに具体的な監査法人名の記載はないが、会計監査人も関係者として言及されている。
第3者委員会の調査が出てきたら、教訓を学びたいと思います。