数年後に起きていること
日下 公人 PHP 2006/9
日下さんの最新作。これだけ本を書いていて、よくも毎回毎回斬新なコメントができると感心してしまいます。
メーカーの経営者なら、次の言葉が参考になると思います。
日本型「かばい合い型会社」とアメリカ流「ドライな現金決済の会社」と、そのどちらがいいかと効かれたら、答は「非常に高度で芸術的な物をつくるには、メンバーを固定してかばい合いで助け合わないとできない」(P.50)
法律家なら、商法の話(P.54)が面白いでしょう。商法は、そもそも外国人に見せるために書き上げたものであって、日本人に対してそのまま適用しないという前提だったというのは、村上ファンドの話と合わせて考えると興味深いです。
投資家であれば、P.58の3つの黒字の話が面白いでしょうね。日本は貿易収支が黒字でしたが、05年には所得収支が11.3兆円となり、貿易黒字を上回りました。これらに加えて、知的財産権の収支も黒字になりつつあります。
貿易黒字は今働いていることの証明である。
所得黒字は、昔働いてそれを貯蓄したことの証明である。
インテレクチュアル・プロパティーズの売買が黒字になったことは、日本人の頭やセンスがいいという証明である。
三つとも黒字という国は歴史上ほとんどない日本が海外出兵をするときはいつも世界史が変わる(P.148)
というのは、ハッとしますね。
日本の参加によって世界の五大文明、五大宗教、五大軍事大国というのがいまやあそこ(イラク)で一堂に会した。こんなことは今までにないことである。
P.198からは、日本精神について書いていて、マンガを取り上げています。日本と欧米の子供に対する考えの違いは、面白いですね。日本では子供こそ人間らしく、大人になると諸事情で不幸になっていくと考えます。しかし、欧米では、キリストが生まれたときに大人の顔になっているんですね。
P.218に22世紀論があります。
「22世紀は英語が廃れます。日本が中心になります。英語まじりの日本語が国際言語になるでしょう」
といわれれば、今は笑ってしまいます。
インターナショナルラングウェジというのは、ポケットがお金で膨らんでいる人がしゃべる言葉です。
とし、日本が豊かな時代が続けば、日本語も広まるという論拠です。”Yenglish”の将来は如何に?
では。