小説 企業内弁護士―もし弁護士が企業で働いたら
中根 敏勝 法学書院 2011/9
中根先輩から献本をいただきました。最近増えてきたインハウス・ローヤーの小説です。一般市民にとって、弁護士は縁遠いと思いますが、その中でも企業で活躍する弁護士の実態は、更にわからないと思います。
弁護士の方にとっても、実はよくわからない分野なのではないでしょうか。弁護士の組織は、弁護士+秘書のという分子構造(H2B?)でできてました。町の弁護士事務所もこの形ですし、数百人が所属する大手でも、基本的にはこの分子構造になっています。
本書で取り上げられるような大企業は、組織で動いています。社員はあくまでパーツであり、部門が個別の責任を負い、部門をまたがる決裁は、合議が必要になります。このような組織の中で結果を出していく弁護士には、法律知識以上の能力が必要です。その一旦が、本書を読むことで学ぶことができます。
「小説」といっても、鈴木京香が出てくるわけでもなく、中身は極めてマジメです。各章ごとに、Q&Aが設けられており、私のような者にはとても参考になりました。
各章ごとに、企業内弁護士が取り組む典型的な例が取り上げられており、具体的なイメージがつかめました。将来、経営者を目指す方は、ここに書かれている範囲の法律は、一度勉強しておくべきとも言えます。