David Meerman Scott 日経BP社 2011/12
コンサルタントによるソーシャル・マーケティング本。
最近のマーケティングの本が、どれも「ソーシャル」なので、やや食傷気味。教訓は他書にもあるとおりで、GDがその魁になっている例が紹介されています。私は、GDを知らないので、あまり響きませんでした。
むしろ、日米差に興味を持ちました。
共通点:時代を捉えるのはアーティスト。GDは、ソーシャル・マーケティングの先駆となるようなことをやっていました。日本のアーティストも、時代を捉えていました。インターネットが入ってきた時の坂本龍一さん、佐野元春さん、小室哲哉さんの反応は早いものでした。Sony Musicも世界に先駆けてインターネットによる新譜CDシングルタイトル曲の有料音楽配信を始めます。
相違点:日本はそこで止まっている。GDはメジャーと逆の道を徹底して、ソーシャル化を極めましたが、日本ではアーティストも企業もその手前で止まっているように思えます。ジャニーズは写真もホームページに出て来ません。AKBはソーシャルメディアを使ってますが、使っているのはスタッフですね。ビジネスモデルはCDの売上ですし。247ミュージックも、大きな流れにはなりませんでした。
本書のアドバイスを日本のミュージシャンはやるべきなのかと考えていくと、勉強になりますね。
- バラエティに富んだチームを作ろう
才能のある人を日本人ミュージシャンも集めているとは思うのですが、「職人」として 最低限守らなければならないハードルが日本の方が高い気がしております。 - ファンを増やそう
若手はいろいろやってますが、経験を重ねてビック・アーティストになると、職人として庵にこもるように思います。 - 中間業者を排除しよう
音楽業界の秩序を壊す人はむしろ減っているのでは?業界内はむしろ濃密な人間関係があると。 - 起業家と手を組もう
一見さんは、ちょっと…
というわけで、アメリカでこういうグループが頑張って、新しい地平線を開拓してきたのはよくわかります。しかし、そのまま日本に持ってきて成功するかは、自信ないですね。ミュージシャンのこの差を考えることが、事業会社のマーケティングのヒントになると思いました。