【本】バーナンキは正しかったか?

バーナンキは正しかったか? FRBの真相
IN FED WE TRUST BEN BERNANKE’S WAR ON THE GREAT PANIC
David Wessel 朝日新聞出版 2010/4

WSJ Editor(Pulitzer Prize共同受賞)による金融危機ルポ。東洋経済:2010年上期 経済書ベスト20の1位。

I never once considered that it was appropriate to put taxpayer money on the line in resolving Lehman Brothers.

FRBが3月にベア=スターンズを救済したのに、それよりはるかに大きなリーマンを破綻させたのはなぜか。この言葉の背景がわかります。

中央銀行は、ルールに則った運営を好む、それを逸脱しすることに躊躇します。これが物価の安定には寄与するわけですが、金融危機のようなイレギュラー対応だらけの時には、どうしても後手に回ってします。
また、中央銀行の運営には、極めて高度な経済・金融知識が必要で、この点では専門家(大学教授)は適任なのですが、トップだけは議会の説得に当たらざるを得ず、全く違う筋肉を使う必要があるのがよくわかりました。以前ご紹介した『熱狂、恐慌、崩壊』のCharles P. Kindleberger教授の言葉が印象的です。

中央銀行には通常ルールがある。そのルールが簡単に破られないとき・・・・・・往々にして困った事態になる。ルールが簡単に破られすぎるときも困った事態になる。 p.208

ボードの様子がわかるのも楽しいですね。Laurence Meyer元FRB理事の言葉が引用されています。

The hawks are very passionate in their views about the appropriate course of monetary policy and tend to speak with loud voices, both in their speeches and inside the FOMC, he wrote to clients in a memo that circulated widely within the Fed. The doves tend to be stunned by the belief of the hawks that the credit shock does not have to be offset by easier monetary policy.

では。

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【参考】
http://www.infedwetrust.com/