【本】「食糧危機」をあおってはいけない

「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)
川島博之 文藝春秋 2009/3

先日、「地球と一緒に頭も冷やせ」をご紹介しましたが、その食糧問題編ともいうべき本です。やはり、我々は「常識」にとらわれていて、なかなかデータから突き詰めて考えることができていないのがわかりました。
ローマクラブから始まって、食糧危機説は定期的に起こるわけですが、量が不足して危機に陥ったことはほとんどありませんでした。生産性の改善で、人口の増加に見合う増産が達成されてきたんですね。むしろ問題は、価格の高騰で、所得の低い人に食料が回らないことで、ここは冷静に判断しなければなりません。
たとえば、昨年も、食料価格の高騰があったのですが、絶対的な量が不足したというよりは、アメリカのエネルギー政策転換を先読みした金融筋が先物を買った要因が大きかったと思います。
そのエネルギー政策にしても、サトウキビから採れた

バイオエタノールの減量価格を石油に換算すると1バレル34ドル p.161

これが、とうもろこしになると、77ドル。(1ブッシェル約3ドルベース)で、政府の補助金なしにはペイしない政策なことがわかります。
農業は、どの国も、政治的にデリケートな問題なので、議論にもバイアスがかかりがちですが、こういうデータをきちんとみていきたいですね。

では。

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