Hot, Flat, and Crowded
by Thomas L. Friedman 日経 2009/3
『フラット化する世界』の著者による環境論。オバマ大統領が読んで、グリーンニューディールに反映させたとして、アメリカでベスト・セラーになりました。いろいろ批判はあるようですが、環境問題のどこにビジネスチャンスがあるのかがわかります。
11章 石器時代が終わったのは、石がなくなったからではない※ は、ヘンリー・フォードの言葉が引用されています。
顧客に希望をきくと、もっと速い馬がほしいといわれる。下p.45
我々は、今の生活の延長で環境問題を捉えており、未来から今を見る必要がありそうです。
下p.55では、GEイメルト会長のコメントが紹介されています。会長は、医療テクノロジーは8~9世代進化下のに対し、電力は1世代しか進化していない。その理由は、市場原理が働かず、イノベーションのインセンティブが無かったこと。
医療産業は、毎年、売上の約8%を研究開発に再投入しているが、エネルギー産業[全体]は毎年、2%程度しか再投入していない。
11章のタイトルになっている※は、サウジアラビアのヤマニ石油相の言葉です。石油がなくなるのを待つのではなく、代替物(環境技術)を作ることが石油の消費を抑えるんですね。
たとえば、下p.87のGEトランスポーテーション社。クリーンな大型ディーゼル機関車を製造することで、ペンシルバニアにありながら、中国、メキシコ、ブラジルに「輸出」を実現しています。
こうしたきっかけが、営利企業から自然に出てくるかといえば、さにあらず、GEイメルト会長は、
いまのエネルギー・ビジネスには、神の手が存在していない 下p.236
と嘆きます。大統領のエネルギー政策に対するリーダーシップを強く求めているのですが、原書が出版された後に、オバマ大統領が登場し、グリーン・ニュー・ディールにつながりました。
著者は、「一日だけアメリカが中国になる」という、いささか乱暴な解決策を示していますが、最初の一押しが日本にも必要ですね。
では。
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