柳井 正 新潮社 2003/11
ユニクロ、柳井社長の経営論。ユニクロ新宿西口店のオープンに接し、読んでみました。『プロフェッショナル・マネジャー』の延長線上にある堅い意志と、「店」の現場感覚をどこまでも突き詰めていく姿が印象的です。
タイトルを読んだ時には、為替ディーリングを思い出しました。10回相場を張って、6回勝つのが良いディーラーなのではありません。9回負けても、1回の大勝ちするのが、生き残るディーラーなんですね。
衣料品も為替も、波は、規則正しく来るわけでなく、ある日、突然やってきます。それまでの「なぎ」を待つわけですが、このときに、ポジションを取っても、だいたい(小さく)負けます。連敗して、ポジションを取るのを止めてしまうと、本当の波に乗れない。常に謙虚な気持ちで市場に向かい続けることが必要なんですね。
当社は数々の失敗を繰り返して、学習してきた会社だと思っている。繰り返し強調しておくが、成功よりもむしろ失敗のほうが勉強になる。p.167
03年時点の本なので、こんな言葉も。
経営は、ぼくにとってはスポーツみたいなものだ。チームのリーダーとして先頭にたって、自分の体力で全員を引っ張っていけるうちはいい。p.194
こういう、年齢観もありますね。その後、本人は社長に復帰するのですが、日本のメーカーに当てはめて考えてみたいテーマではあります。
最後に、起業家十戒、経営者十戒、経営理念の解説があり、必読です。
起業家十戒
- ハードワーク、一日24時間仕事に集中する
- 唯一絶対の評価者とは、市場と顧客である
- 長期ビジョン、計画、夢、理想を失わない
- 現実を知る。その上で理想と目標を失わない
- 自分の未来は、自分で切り開く
- 時代や社会の変化に積極的に対応する
- 日常業務を最重視する
- 自分の商売に誰よりも高い目標と基準を持つ
- 社員とのパートナーシップとチームワーク精神を持つ
- つぶれない会社にする。一勝九敗でよいが、再起不能の失敗をしない
経営者十戒
- 経営者は、何が何でも結果を出せ
- 経営者は明確な方針を示し、首尾一貫せよ
- 経営者は高い理想を持ち、現実を直視せよ
- 経営者は常識に囚われず、柔軟に対処せよ
- 経営者は誰よりも熱心に、自分の仕事をせよ
- 経営者は鬼にも仏にもなり、部下を徹底的に鍛え勇気づけよ
- 経営者はハエタタキにならず、本質的な問題解決をせよ
- 経営者はリスクを読みきり、果敢に挑戦せよ
- 経営者はビジョンを示し、将来をつかみ取れ
- 経営者は素直な気持ちで、即実行せよ。
では。
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