見えない手 クライブ ハミルトン 2020 飛鳥新社
Hidden Hand Explosing How the Chinese Communist Party is Reshaping the World
キャンベラのチャールズ・スタート大学で公共倫理学部の教授は、『目に見えぬ侵略:中国のオーストラリア支配計画』(Silent Invasion: China’s Influence in Australia)を書きましたが、その世界版。中国共産党(中共)の統一戦線工作活動がどのように展開しているのかがわかります。こうしたことは、どこの国の政府も多かれ少なかれやっているとは思いますが、中共のものが組織だっていて、世界的に展開しているのがよくわかりました。
スリランカが経済破綻してしまいましたが、その影響力は一国の命運すら変えてしまいます。その主体となるのが統一戦線。
その目的は、党外の人々が「統一戦線」(党の利益に合うように行動するグループの連合)を形成するように誘導し、共感させ、共用することや、敵と指定された者を弱体化させることである。
p.37
「博愛」「平和」「発展」「理解」「団結」などのように、よい響きを持つ言葉が組織名に使われている場合は、党に支配された統一戦線工作に関係した組織であることを示している。
p.43
毛沢東の5%ルール
「95%の人民は善良である」と宣言した。(中略)その際に「悪い」人々の「割り当て」が5%に設定されることが多かった。
p.45
中共の工作手順。
中国共産党は原則として、一度に多くの人をまとめて敵にまわさないようにしている。(中略)「まだ95%が潜在的な同盟国である」という考えに基づくもので、大多数の人々に中国共産党からの圧力をかんじさせないようにするためだ。
p.48
毛沢東の外円内方というスローガンも、p.48
「原則は堅固に、戦略は柔軟に」とも訳されるが、このアプローチは「最も重要な原則を見失わない限り、戦略的な目的のためには一定の譲歩は許される」という柔軟性を表している。
p.48
小骂大帮忙。
あえて一部の友好勢力の批判を戦略的に許容し、かえってその勢力の信頼性を高めてやることだ。
p.48
など、パターン化されています。欧米に対しては、中国への経済的な見返りを与えて、政治的な妥協を引き出してきました。こうした活動の実態を知ることは重要ですね。
では。