閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済
水野 和夫 集英社新書 2017/5
法政大学教授による経済予測。まずは、長期金利から p.16
これまでの5000年の金利の歴史のなかで、2.0%という水準を複数年にわたって切ったことは過去1度しかありません。中世から近代への移行期である、1611~1621年のイタリア・ジェノヴァのみです。
興味深いのは、p.74の経済覇権国の金利の推移(Sidney Homer and Richard Sylla”A History of Interest Rates”)。
5%以上の金利は「戦争」という例外状況のときに実現し、2.0%以下になるときは、資本主義にとって津市先がないという「例外」なのです。
日本は、戦後~1992年まで5.0%を超えていました。この考え方に従えば、
日本は第二次世界大戦からソビエト連邦解体までの「戦時下」で、高度成長を実現したのです。つまり、米ソ冷戦が終わったときに金利は「平時」の水準に戻ったわけです。p.76
中国については、供給過多からデフレになると予測していました。p.170
中国の消費者物価は2011年には前年比5.4%増だったのですが、2016年には同2.0%増にまで鈍化しています。
結果、帝国が閉じていくという主張でした。
私的には、先進国にずっといるとこういう考え方になるのかなと感じました。アジアを歩いていると感じるのは、膨大な人数が貧困を抜け出したということです。帝国が閉じているというよりも、都市が意思を持って暴れだしているように感じます。先日も、アルゼンチンの経営幹部と話をしていて、借り入れ金利が24%だと言われました。日本の超低金利を20年もウォッチしていれば、こういう世界観になるのはわかります。しかし、世界はまだまだ、広いと思っております。
では。