【本】選択の科学

選択の科学

シーナ・アイエンガー(Sheena Iyengar),‎ 櫻井祐子(翻訳) 2010/11

コロンビア大学ビジネススクール教授による選択のお話。こんなに緻密で学術的は講義なのに、彼女の手にかかると、物語になる不思議。以下、メモ。

有名なのが、ジャムの選択。24種類のジャムを売り場に並べたときと、6種類のジャムを売り場に並べたときでは、前者は、後者の売り上げの10分の1しかありませんでした。選択肢が多い方が、自由度がまして、顧客を満足させそうなものですが、そうでもないんですね。こうした、選択をめぐる様々な実験を、わかりやすい言葉で伝えてくれています。

動物園の動物は、野生の動物より、はるかに食糧、衛生状態の面でめぐまれているにもかわらず、寿命は圧倒的に短い。
たとえば野生のアフリカ象の寿命は56歳ですが、動物園のそれは17歳。
職業階層が高ければ高いほど、寿命は長かった。これらは、職業階層の高さと仕事に対する自己決定権の度合いが直接相関していたことに理由がありました。

たとえば、第6章は、豊富な選択肢は必ずしもりえきにならない。ポアンカレ(Jules-Henri Poincaré)の言葉はp.258。

“Invention consists in avoiding the constructing of useless combinations and in constructing the useful combinations which are in infinite minority. To invent is to discern, to choose.”

著者はむしろ、

To choose is to invent. p.259

と考えているのでした。

What I mean by this is that choosing is a creative process, one through which we construct our environment, our lives, our selves. If we ask for more and more material for the construction, i.e., more and more choice, we’re likely to end up with a lot of combinations that don’t do much for us or are far more complex than they need to

ちょっと、禅を思い出しますね。

目が見えないというハンディキャプがありながら、これほどの調査を行い、豊かな表現ができることに、ただただ感動します。

では。