【本】イノベーターのジレンマの経済学的解明

イノベーターのジレンマの経済学的解明


伊神 満  日経BP社 2018/5/24

イェール大学の経済学者によるイノベーションのジレンマ分析。経営学を最近の経済学風に分析するとこういう数学的な表現になるという書。

本書で使う経済学的概念は、共喰い、抜け駆け、能力格差。クリステンセンを読むと、経営者が無能のように思えますが、経済的な分析を用いると、 インセンティブが大きな問題なのがわかります。 既存企業は、新興企業が頭角を現す前に先手を攻撃(ダンピング、買収など)すれば、ほぼ確実に利益を確保することができます。そのための社内資源もあります。ただし、共食いによる売上減を嫌ってイノベーションに本気になれません。

経済学部卒業生にとっては、80年代以降の経済学の進歩を振り返る本でもあります。ゲーム理論や、産業組織論が、真ん中に来ているのがわかる本でもありました。

では。