【本】2030年ジャック・アタリの未来予測

2030年ジャック・アタリの未来予測

プレジデント社 2017/8

この手の予測本はあまたありますが、データの置き方が良いです。

2016年、携帯電話のネットワークは70億人(世界人口の95%)をカバーしている。38億人が携帯電話を保有しており、20億人が自分のスマートフォンからソーシャル・ネットワークを頻繁に利用している。p.24

1995年の時点では高性能だった検索エンジン「ライコス」は150万の文書を検索したが、2016年のグーグルは60兆の文書を検索する。p.25

印象的なのは、p.98から諸悪の根源についての議論。貨幣は、暴力を減らす手段だった。清貧だけでは平和にはならない。今日ほど、宗教指導者が寛容の精神を説いている時代はない。イスラーム世界はきわめて多様であり、団結していない。マルクス主義や自由主義によっても、説明し得ない。

複雑かつ複合的で相互依存している世界では、たった一つの理論によって現在の矛盾に満ちた現実を明快に説明することはできないのではないか。p.100

2030年、新興国で年収が3万5000ドルを超える世帯の数は2億以上になるはずだ。世界全体の消費に占めるアジア地域の割合は、今日の10%から2030年には59%になる。

東アジアと南アジアでは、女性の人口は男性より1億6000万人少ない。女性不足は、特に中国、インド、パキスタン、バングラディッシュで深刻化し、2030年には2億3400万人になる。p.135

最終章の提言は、いまひとつ響きませんでした。アジアですね。やっぱり。

「フランスの超天才」が予測する2030年の世界
フランスナンバーワンのエリート校(ENA)を卒業し、38歳にして故フランソワ・ミッテラン大統領の補佐官を務め、欧州復興開発銀行の初代総裁などを歴任したジャック・アタリ氏。米ドナルド・トランプ大統領の誕生…