【本】現代の金融政策


現代の金融政策―理論と実際
白川方明 日経 2008/3

日銀総裁の金融政策論。東洋経済2008年上期 経済・経営書BEST 100 の1位。ねじれ国会が生んだベスト・セラーですね。
書評を読むと、日銀総裁の思考を分析する人が多いのですが、私はむしろ、学部時代に読んだ『わが国の金融制度』を思い出しました。こちらは、日本銀行金融研究所が執筆しており、名著です。Japanese Financial System のことを「わが国」と呼ぶところに、時代を感じます。
両者を比較すると、イ)この20年間で増えた日銀の仕事、ロ)白川さんの見解がにじみ出たところが浮き彫りになり、興味深く読めました。
日本銀行金融研究所のホームページには、『新しい日本銀行』が掲載されています。00年版以降の追記がこちらのページにまとめられています。ここを見るだけでも、中央銀行の変化がわかりますね。
この20年で最も大きな変化は、金融機関のモニタリングでしょうか。往時は、大蔵省が監督していました。日銀は、銀行にお金を貸している債権者としてのチェックでした。
それが、長期にわたる低金利政策を通じて、金融機関の監督が、金融政策と密接に結びついていることが明らかになってきました。本書ではその答えは見えていませんが、国際協調の中で、おいおい見えてくるのだと思います。

では。


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