塩野七生 新潮文庫 1992/11
今の混沌とした日本の政界を理解するためにに、最適な書?
君主たるもの、新たに君主になった者はことさらだが、国を守りきるためには、徳をまっとうできるなどまれだということを、頭にたたきこんでおく必要がある。p.70
君主たる者、酷薄だという悪評を立てられても気にする必要はない。歴史は、思いやりに満ちた人物よりも、酷薄と評判だった人々のほうが、どれほど民衆を団結させ、彼らの信頼を獲得し、秩序を確立したかを示してくれている。p.91
わたしは、愛されるよりも怖がられるほうが、君主にとっては安全な選択であると言いたい。
なぜなら、人間には、怖れている者よりも愛している者のほうを、容赦なく傷つけるという性向があるからだ。p.92
第2部国家編
祖国の存亡がかかっているような場合は、いかなる手段もその目的にとって有効ならば正当化される。p.152
民衆というものは、善政に浴しているかぎり、とくに自由などを、望みもしなければ、求めもしないものである。p.165
しかし、われわれの経験は、信義を守ることなど気にしなかった君主のほうが、偉大な事業を為しとげていることを教えてくれる。p.72