THE PARTY: The Secret World of China’s Communist Rulers
Richard McGregor 草思社 2011/5
英『エコノミスト』誌ブック・オブ・ザ・イヤー2010。中国共産党の本質に迫っています。
2007年の党大会に並ぶ最高幹部。
全員がダークスーツ、8人は真っ赤なネクタイ。そして、9人全員が漆黒に染めた髪をオールバックにしている。髪を染めるのは中国高位政治家特有の慣習で、それをやめるのは引退や投獄のどちらかに限られている。p.21
集まった報道陣や政府関係者にとって、最も重要なのは、この9人がステージの上に進み出る作法でもなければ、見た目やキャリアの類似でもない。登場してくる順番だ。なぜならこの序列こそが、2012年までの5年間における指導部のヒエラルキーを決定し、ひいては2022年までの10年間の後継者の序列を決めるからだ。p.22
今では、世界第2位の経済大国になった中国も、90年代初頭は混乱していました。
それから10年のあいだに、政府は国有企業の労働者5000万人を解雇した。(中略)さらに1800万人を別の企業に移動させたが、そこには前職で得ていた待遇は一切なかった。p.82
政治の指導で、経済は大きく変わったのですが、政治は変わりません。台湾との比較がp.198にありました。
公然の政敵である彼を、呉剣燮は私に快く紹介してくれた。政党間の競争がない中国に住んでいる者にしてみれば、政敵同士が礼儀正しい挨拶を交わすことなど考えられない。
中央と地方の関係も独特です。
胡錦濤と温家宝があとで気づいたのは、税金の徴収を急激に中央集権化に戻すことは、逆説的ではあるが、中央政府の権力強化よりむしろ地方経済の自由化をいっそう促進するだけだ、ということだった。p.274
p.342からは、アルミニウム業界に参入した劉永行氏の話がでており、興味深いです。
徐々に資本主義国の「会社」とは違う経済であることがわかります。象徴的なのは、中国人エリート300人あまりの机の上には、盗聴防止機能の付いた赤い電話。共産党本部と直結しており、何人もこの電話が鳴ったら必ず取らなければならない。
今年の党大会に注目です。