【本】非営利組織の経営

Managing the Non-Profit Organization: Principles and Practices
Peter F. Drucker ダイヤモンド社 2007/1

オリジナルは1990年だが、今なお、メモを取る手が止まらない一冊。NPOは、いまや日本でも定着していますが、30年も前に、その経営について語っているドラッカーの慧眼に驚きます。

第1章では、ミッションが取り上げられています。p.6では救急医療室のミッションが紹介されています。

患者を安心させること

あっさりしすぎて、引っかからないのですが、

使命の表現は、それに基づいて動けるものでなければならない。(中略)使命の表現は、その機関が現実に何をしようとしているのかに焦点を絞ったものでなければならず、その組織にかかわる一人一人が、目標を達成するために自分が貢献すべきことはこれだ、といえるようなものでなければならない。p.7

この表現は、病院経営を考えるとスっと心に落ちますし、後に、事業会社もそうあるべきなのだと思うようになります。このように本書は営利企業を想定していないのですが、営利企業の経営についても多くのことを学べる本です。
第2章のこの言葉は、震災後の日本人に染み入るものです。

The most successful leader of this century was Winston Churchill. But for twelve years, from 1928 until Dunkik in 1940, he was totally on the sidelines, almost discredited – because there was no need for a Churchill. Things were routine or, at any rate, looked routine. When the catastrophe came, thank goodness, he was available. Furtunately or unfortunately, the one predicable thing in any organization is the crisis. That always comes That’s when you do depend on the leader.
The most important task of an organization’s leader is to anticipate crisis. Perhaps not to avert it, but to anticipate it. To wait until the crisis hits is already abdication. One has to make the organization capable of anticipating the storm, weathering it, and in fact, being ahead of it. That is called innovation, constant renewal. You cannot prevent a major catastrophe, but you can build an organization that is battle-ready, that has high morale, and also has been through a crisis, knows how to behave, trusts itself, and where people trust one another. p.13

戦略の重要性については、こんな言葉。

There is an old saying that good intentions don’t move mountains; bulldozers do. p.75

戦略がブルドーザーにあたると主張しています。
コトラーは、1971年に非営利機関の戦略的マーケティングについて書いており、対談が収録されています。
非営利機関がマーケティングをしようとしたら、5~10年はかかる述べているのが印象的です。p.106

組織のなかの人間が、貢献し、理解してもらうことについて責任をもてるようにするためには、基準が必要である。p.147

基準は高く設定すべきである。しだいに基準を上げていくことはできない。

反対意見の必要性については、p.157。

 重要な事項について全員の意見が一致しているときには、決定しない

人事については、p.184

ほとんど百発百中の人事を行う人は、きわめて単純な前提条件に従っている。すなわち、自分は人を判定する裁判官ではないという前提である。

忍耐を要するステップは、次の通り。

1. なされるべき仕事を見定める

2. 複数の人物を比較する

3. 候補者の実績を吟味する

4. 候補者の強みをみる

強みをみるという例として、p.188にジョージ C マーシャル将軍が紹介されています。将軍は600人の将校の人事をほとんど失敗なく行い、短期間に1300万人という世界最大の軍隊を組織しました。

人材育成については、p.187に与えるべき要素が書かれています。

1. 導いてやる相談役

2. 技術を伸ばしてやる教師

3. 進歩を評価してやる判定人

4. 励ましてやる激励者

一番上に立つ者しか本当の激励者にはなれない。

もう少し時間をかけて整理したいと思います。