【本】反転

反転―闇社会の守護神と呼ばれて
田中森一 幻冬舎アウトロー文庫 2008/6

(元)特捜のエースが逮捕されたといえば、この方。昨年まででしたら、バブルを知る本だったと思いますが、村木事件のあとでは、検察を知る本になっています。

特捜部の東京vs大阪比較が印象に残ります。組織で動こうとする東京と、職人肌の大阪。地元に中央官庁がないがゆえに、出先機関から中央官庁を狙うという執念。
また、捜査についても、「なによりまずは筋書きありき」と正面から認める記述がありました。
業者とのつながりで印象深いのがこの下り。

大阪で検事正が検察庁を退官して弁護士になるとき、住銀と読売新聞が責任を持って何十社に及ぶ顧問先をつける。p.244

毎月10万円の顧問料を50社が払えば、毎月500万円の収入になる。本の後半は暴力団の記述が増えることもあり、「シマ」のビジネスのように思えてきます。
3年前にベストセラーになった本ですが、いま読み返す価値がでてきました。

では。

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