
株式投資
ジェレミー・シーゲル、藤野隆太訳、2006/7 日経BP
”Stocks for the Long Run” 3rd Edition。投資に関する本は数多くありましたが、過去200年にさかのぼって徹底的にデータを分析した本を初めて読みました。本書で示される結論は、私のたちの一般常識を覆してくれます。これから投資のアドバイスをしていくフィナンシャル・プランナーのような仕事の方には、おススメです。
本書は、1929年、アメリカ大恐慌の直前に株を勧めたラスコフ氏の話で始ります。この大暴落の時期ですら、毎月15ドルずつ株式に投資をしていれば、4年以内に短期国債の投資利回りを超える利回りを株は実現しているのだそうです。
P.5の図1?1「名目トータルリターン」のチャートを見ると、200年というスパンでみれば、株式が他の資産に比べて圧倒的な利回りを実現しているのがわかります。
P.10の図1?4「実質トータルリターン」を見ると、株が、インフレに対して強い資産であることが確認できます。物価上昇率が極めて安定している現代に生きていると、忘れがちなことですね。
P.17の図1?6「米国株、ドイツ株、英国株、日本株の実質利回り」を見ると、それが、アメリカ以外でも当てはまるのがわかります。ただし、この表の日本の実質利回りは、2.93%となっており、アメリカの7%、ドイツの6.44%を下回っています。敗戦、バブル崩壊をどう見るかで、見方が変わってくると思います。
為替の影響ついては、第10章 国際投資 P.171 表10?1「世界株式市場における米ドルベースの年率複利利回り」をみるとよいと思います。
P.17 図1?7「各国の株式の実質利回りと債券の利回り」をみると、国際がいかにインフレに弱いのか実感できます。
P.25 図2?1「保有期間ごとの実質利回り」を見ると、10年以上の期間で株式のリスクが債券のリスクを下回っているのがわかります。これは意外ですね。
P.38 図2?2「ポートフォリオの資産構成」を見ると、10年の保有期間を前提とした望ましい株式保有比率は、超保守派で39.5%、リスク選好派は108%(借金して買う)になってます。
P.40 図2?7「最的なポートフォリオ構成比率」では、物価連動国債を組み入れており、この場合は、株式が185%ロングで、長期国債が85%ショートが効率的フロンティアとなっています。ビックリ。
「貯蓄から投資へ」といろんな人が言ってきましたが、過去のデータをモダンポートフォリオ理論に組み込んだ結果がこうなると、改めて自分のポートを見直したくなります。
P.121 図7?2「鉱工業生産の月次変化」も面白いです。指数の標準偏差を1884年から追っているのですが、近年、この値がいかに安定しているかがビジュアルにわかります。安定した経済が、株価の継続的な成長につながっているんですね。
P.171 表10?1「世界株式市場における米ドルベースの年率複利利回り」を見ると、日本の戦後経済がよくわかりますね。1989年までの好調ぶりと、それ以後の停滞が、ハッキリ描かれています。皮肉な見方をすれば、株式のバブル崩壊は、それまでの高度成長の反動で、「想定内」とチャートが語っているようにも思えます。中国の株式を挿入するとどんなことになるんですかね…。
ウォートンの教授が書いているだけあって、その後は、専門的な内容にあ入っていくわけですが、せめて、第1章?第2章を丁寧に読むと、みなさんの老後の生活が変わってくると思います。
では(^^)/^
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