Ippinカップラーメン

かつて、日本企業の海外成功事例といえば、自動車やエレクトロニクス企業が有名だった。私はソニーユニバーシティで田宮学長の話を聞いたことがある。たった一人でソニーの南米販売網を作った人の話は圧倒的だった。ペルーでの最初の半年でゼロからスペイン語を学び、5年間でリマに来た日本人は1人だったという壮絶な話。
ソニーの製品が素晴らしかったから世界中で売れたとかいうことではない。田宮さんのような人の努力の上にいまのソニーがある。
食品は、それに比べると内弁慶なところがあった。しかし、それも最近海外で頑張っている例を見かけるようになった。
たとえば、キッコーマンが、ウィスコンシンに工場を建てたのは、1973年。ホンダが米国に工場を建てるのにヒアリングに来たほどだった。
日清は、ハンガリーでカップヌードルを作っている。工場の住所を見れば、ハンガリー政府の敬意が伝わってくる。

 Kecskemét, Momofuku u 4, 6000, Hungary

食品のような利幅の薄い商品をEUのどこで製造するかは、企業戦略的に重要だ。おのずからユーロを採用していない低賃金国になる。ハンガリーの工場を支えるのは移民のはずだ。中東出身者も多いだろう。ハンガリー工場からとんこつ味が消えたのもいたしかたない。

ハンガリー産のカップヌードルに日本人が満足できないのも無理からぬことだ。EUで利益を最大にするためには、EUの消費者に最適化した味にしないといけない。2.25ユーロでオランダで買えることに感謝しなくてはいけないだろう。

エースコックがリスクを取って丸紅とベトナムに工場を作った。あのベトナムで、この品質のカップ麺を作るのにどれほどの苦労があったろうか。

それを英国に輸入しているのは、キッコーマンの子会社JFC。欧州の農業保護は農家が暴れているニュース映像のとおり。日本の食品メーカーは、「外-外」の輸入ができるほどに成長している。ビッグマックが4£する国で、Ippin Cup Ramenが、1.2£で買えるのは、奇跡なのだ。

ジャパニーズ・ビジネスマンの汗と涙に感謝していただきたい。

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