機長の「集中術」
小林宏之 阪急コミュニケーションズ (2010/3)
年を取ったら、一流の人の話を聞けといいますが、まさにそんな本です。JAL機長の集中術論。”Miracle on the Hudson”のあとでは、機長の集中力についての興味が沸きますね。
パイロットが一般の職業に比べて、集中力の発揮の仕方がうまい、スゴイと言われるのは、数百名の尊い生命をあずかっている、という使命感があることはもちろんですが、常に時間というものを意識して仕事をしていることも、大きな要因のひとつです。p.102
著者は、JALで42年間飛行したパイロット。引退まで一度も病気で休んだり、自己都合でスケジュールを変更したことがありませんでした。
集中力は、後天的に伸ばすことができる「スキル」と考え、何歳になっても伸ばすことができると説きます。
そのスキルとは、捨てる技術。p.19。
目的を実現するためには、自分が好きなこと、やりたいこと、やるべきことに集中し、その時、その場で必要のないもの、今いちばん大切なもの以外のもの、今やろうとすること以外のことは、すべて捨ててしまう。p.19
集中力を4つに分類します。
- 深さ(虫の眼)
一点に瞬間的に集中する - 幅(鳥の眼)
- 時間(魚の眼)
- 重要度(心眼)
一流の定義はこちら。p.130
一流の人というのは、決して難しいことをやってのける人ではなく、だれにでもできる当たり前の基本的なことを、人が見ていても、見ていなくても、集中力をもって、非凡なまでに確実に実行し続ける人でもあるのです。
脱線ですが、パイロットの時差調整法(p.101)はこちら。
- 徹底して日本時間で過ごす
- 眠くなったら寝る
- 現地の時間で過ごす
リスクマネジメントは、こちら。p.130
「被害極限対応」で大切なことは、決して完璧なこと、100点満点を狙わないことです。(中略)
トラブルが発生した際に、素子いの全員が、そのトラブル集中に集中してしまうと、ルーチンワークにヌケが生じてしまい、また新たなトラブルや二次災害が発生する可能性が出てくるということです。
私たち日本人が、欧米人に比べてリスクマネジメント、危機管理が甘い、不得意だと言われる要因のひとつに、事故やトラブルが発生すると「誰が悪かったか」ということに関心が向いてしまう社会風土があります。p.131
では。
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