高橋洋一 講談社 2008/3
すごいタイトルになっていますが、内容は、以前ご紹介した『財投改革の経済学』の延長にあります。政治史という文脈からいえば、飯島さんの『小泉官邸秘録』、竹中さんの『構造改革の真実 』と合わせて3部作になろうかと。小泉さんは、本書きそうにないですからね。
読み終えて感じることは、財務省は数字(ロジック)で政策立案を支援する官庁というイメージがありますが、実は「ベキ論」で動いているところなのだなということです。著者の表現を借りれば、文I出身者が多数派であるからなのでしょうが、著者の活躍が光るのは、東大数学科卒で、ロジックで考えた結果であるといえます。たとえば、P.28で変動利付国債を批判しています。
現在、多くの金融機関が膨大な含み損を抱えているものと推定される。2000年から発行された変動利付国債の発行残高は50兆円近い。そのうち1割はやられているとしたら、実に金融機関の含み損は5兆円近くにも上回る。
買った金融機関も悪いが、特殊な商品であることをろくに説明せずに売った大蔵省、後の財務省も悪い。
同様に、道路公団、郵政改革など、数字で問題のありかをあぶりだしていきます。わたしのような立場であれば、こういう考え方は、まっとうだと思うのですが、組織としてそういう考え方ができなくなっているところに、官僚組織の問題があるんでしょうね。
では。(^^)/~
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