逆境を乗り越える者 リーダーたちは失意のどん底からいかにして立ち直ったか
ジェフリー ソネンフェルド アンドリュー ウォード ランダムハウス講談社 2007/12
マスコミは、組織のトップが転落したことを叩いて終わりですが、本書は、そこから立ち直った人を学問してしまっています。スティーブ・ジョブズ(p.339)だけでなく、マーサ・スチュアートやマイケル・ミルケンなど非常に的確な具体例で復活の方法を分析しています。
P.111には、こんな研究結果が紹介されています。
知名度の高いCEOは雑誌から賞をもらい、その表紙を飾ってからおよそ3年で業績の低迷という憂き目にあっているケースが多い。
山が高ければ、谷も深いのですね。一度その道を究めた人が、復活するのが難しいのは、A.J.ラーナーのこの言葉に象徴されます。
作家は年をとればとるほど、書くのが難しくなる。思考力が衰えるからではない。むしろ作家としての完成が、年月を経てますます鋭くなるせいである。p.35
いろんなことを考えてきたために、自分を追い詰めてしまうんですね。
しかし、それが起こった時の対応原則は2つ(p.258)
- 相手の出方をみて行動するより、先手を打つほうが効果的な場合が多い
- 申し立ての重大さを客観的かつ冷静に見極め、戦いを選択する
孫子「是故百戦百勝、非善之善者也、 不戦而屈人之兵、 善之善者也」
そこで試されるのは、3つの力
- 非難や中傷に耐える力
- ネットワークを活用する力
- 英雄のペルソナとレピュテーションを回復する力
2の具体例として、第8章では、Mark Granovetterのweak tiesの重要性に触れています。
人づてで仕事を見つけた人のうち、週に2回以上会う親しい友人を通して見つけたという人はわずか16.7%に過ぎず、たまに会う(年1回以上)知人を通して見つけた人は55.6%にのぼっていた。p.264
時間がない方には、12章に教訓がまとめられています。
- 挫折は始まりであって終わりではない
- 耳ざわりがいいだけのアドバイスは聞き流す
- どれだけ厳しい状況に思えても、殺人を犯していないかぎり再起は図れる
- 世界中が敵に思えるときでも、味方は必ずいる
- 使命を明確にする
- 自分の言い分を整理する
- 復活は運の問題ではない。選んだ道を進むことである
敗者からリーダーシップを学ぶのもいいですね。
では。