ローマ

 ローマを歩いていて驚くのは、古代と現代のギャップ。気温30度の街を歩くと、公共水飲み場(Nasone)で水が流しっぱなしになっている。キンキンに冷たい水で、本当にありがたい。これは地下水なはずで、2000年前の先人の造ったインフラが、いまだに利用されているのは素晴らしい。

公共水飲み場

 一方、街のゴミ清掃はイマイチで、壁の落書き、浮浪者も多い。オランダのゴミ回収箱の多くが地中に埋まっているのとは対照的。観光地にある彫刻はどこも圧倒的に美しく、ピザもパスタも美味しいのに、インフラに対する情熱はどこかに行ってしまっていた。

 観光地の予約は、まだ取りやすい状況だったが、入り口周辺には、物売りやガイドが復活していた。こんなにアジア系が少ないスペイン広場は、最近まで見れなかったのではないか。アイスクリームを食べるのは禁止されているが、写真を取る欧州人であふれかえっていた。

 オランダから来て、ローマで食事をすると美味しすぎて泣く。同じ欧州人なのに、カトリックとプロテスタントでなぜここまで食に対する感覚が違のだろうか。ピザ、パスタ、ロゼッタ、トリッパ、ジェラート、カプチーノ、ティラミスと試食が続くが、どれも唸るほど旨い。イタリアのバス時刻表は、ピークアワー以外は、「10分間隔」とかかかれていてしかも、10分ごとには来ないというアバウトさなのに…。

 広場には警察だけでなく、軍も銃を持って立っていた。いつもどおりの警戒に加え、本日は、EURO 2020の決勝戦。イタリア vs イングランドに備えもあったのだろう。各所にはパブリック・ビューイングの巨大モニターが設置されていた。人口あたりの感染者数は、イタリアの方が多いのだが、関係なし。

 その晩は、「街が揺れる」のを初めて体感した。試合はPKにもつれ込み、結果が出たのはイタリア時刻の真夜中になったのだが、試合の推移をテレビで確認する必要がなかった。何か動きがあれば、声が聞こえてくるため。PKで勝利してからは、クラクションが鳴り止まなかった。なにせ53年ぶり。前回優勝は、私が生まれた年。圧倒的なスキルがありながら、なぜか勝ちきれないのはイタリアらしい? 勝ったらうるさいだろうなとは思っていたが、明け方まで続くのは想定外だった。