「あやしい彼女」という映画がありました。73歳のおばあちゃんが20歳に若返ってしまう話です。日本経済がアメリカ並みに若返ってしまったら、どうなってしまうのでしょうか。
ほとんどゼロになっていた潜在成長率は2%に上がります。
元気になったので、これまでの借金を返しましょう。アメリカの政府債務は、GDPの130%。日本は同250%なのでアメリカ並みにしましょう。
差の120%は630兆円。一人当たり5百万円。4人家族なら20百万円。
10年前に埼玉県に40百万円で家を買っていたとしましょう。頭金10百万で住宅ローン30百万円。銀行員の進めるがまま、10年固定でその後変動金利にすることで、月々の返済は9万円です。
日本の短期プライムレートは1.5%ですが、経済成長が復活したのでアメリカ並の6%になったとしましょう。今年からは変動金利なので、月々の返済は19万円になります。
大変だ。社長にボーナスだしてもらわなくちゃ。小さな卸売会社の財務諸表は右表の通り。令和3年中小企業実態基本調査速報によると、中小企業の卸売業の売上高は平均673百万円。700百万円としましょう。売上高営業利益率は1.5%です。
総資産は500百万円ぐらいで、自己資本比率が40%。有利子負債比率が100%で、200百万円の借入金があったとします。いまは、ほとんどゼロ金利ですから、支払利息もほとんどなく、経常利益も黒字。
それが、短プラが、アメリカ並みの6%になったとしましょう。支払利息が12百万円となり、赤字になりますね。
というわけで、若返ると、いろいろ支払いが増えるので、いままで以上に稼がなければいけません。
いま、イギリス政府が、借金で減税して金利が上がり叩かれていますが、日本は政府も日銀もやさしいので、痛みを先送りしてくれています。
アメリカもイギリスも格差社会で、日本よりヒドく見えるかもしれませんが、日本が上述の痛み止めを急に止めたら、いまのような他人への思いやりを保てるか、私はちょっと不安です。
では。