Long-term careのGDP比率

 OECDのHealth at a Glance 2021 に掲載されている、Long-Term Care(LTC)の費用を見てみました。

Just a moment...

高齢者の介護・医療にどれぐらいの費用がかかっているか国際比較ができます。

OECD 2021

一番お金がかかっているのはオランダで、GDPの4%にもなっていました。しかし、日本からに帰ってきた私は、日本のLTC費用がGDPの2%で済んでいるとはとても思えません。国際的に統計を比較する問題もあるようですが、このギャップ(2%)が、日本経済低迷のを象徴する数字に見えます。

 オランダ、デンマークは、絶対核家族子供が親と同居しません。身体が動かなくなったあとの介護施設、リハビリ、医療などは、税金・保険・実費などお金で支払われるため、経済活動として表に出てきます。

 一方、家族が親を支える日本は、こうした費用の一部は、家庭で負担されてないでしょうか。親の食事を作る、お風呂に入れる、散歩に行く、買い物する、リハビリを手伝うなど。こうした作業がなければフルタイムで働くのに、子供と親の世話でパートタイムになれば、GDP統計上、マイナスにしかなりません。この直系家族と核家族のギャップを、「直-核ギャップ」とでも呼びましょうか。

 もう一点、オランダのように世界で最も信頼できる年金(Aランク)がある国であれば、こうした支出は、過去に自分が積み立てたお金+運用益でカバーされることでしょう。「タイムシフト」に近くなります。だから、これほど贅沢に?お金を現在かられるともいえます。

 しかし、日本のように年金が賦課方式でDランクの信頼度では、どうなるでしょうか。それは現役の可処分所得を高齢者に回す、「世代シフト」の傾向が濃くなります。テレビ局が、購買意欲の高い現役世代向けに番組を作っても、社会保険料が増えて手取りが減っていくので、結局消費につながらないというのもあるでしょう。

 失われた30年とは、なにもサボったわけではなく、前人未到の高齢化スピード下、いままで以上にがんばったものの、直-核ギャップと世代シフトで2-3%成長率が落ちたとでも言いましょうか。

家族類型の異なるオランダと比較すると、日本の低成長の原因が見えてくるかもしれません。

では。

タイトルとURLをコピーしました