少子高齢化と経済成長は関係ない?

成田教授の記事を見ました。

”世界が認めた天才”成田悠輔氏が提言 ”少子高齢化=経済が停滞する”は思い込み | コラム | MBSニュース
30代半ばという若さで名門イェール大学助教授を務める“世界が認めた天才”成田悠輔氏が、現役予備校講師の林修先生を聞き手に激論を交わしたインタビューが5月29日の「日曜日の初耳学」内で放送された。4月に放送されたインタビューでは格差社会問題と...

少子高齢化と経済成長は関係ない一人当たり年率数%くらいのGDPを成し遂げているドイツや韓国では機械化がものすごく進んでいるっていうデータもあります。

 少子高齢化と、一人当たりGDP成長率の間には、関係がないのでしょうか。過去のデータを見ると、日本は、1995年に44千ドルを達成してから横ばいになったように見えます。

IMF WEO April 2022, Current USD

韓国に追い上げられているように見えますね。

一人当たりGDPの成長率のチャートはこちら。日本の1990年の値が10.4%というのは、1980年代には年平均10.4%で一人当たりGDPが増えたということです。

 たしかに日本は1990年代にマイナス成長に陥り、韓国は高い成長を続けたともいえます。

 そこで、先日計算した、高齢者扶養比率(Aged dependency ratio、ADR) を横軸にとってみましょう。

Source: IMF WEO Apr 2022, UN World Population Prospect 2022

 日本がADRが上がるにつれて成長率が落ちているいるのがよくわかります。まるで直滑降(Straight downhill) ですね。日本の80年代は、ADRが15.8%でした。労働人口が100人に対して、65歳以上が16人しかいなかったのですね。なので毎年給料が1割あがるような成長だったわけです。ADRがあがるにつれて成長率は落ち、40%超えるあたりでマイナスになりました。

 ドイツが90年代に急落したのは東西統合の影響だと思います。2000年代はADRが上がったのに成長率も上がる結果になりました。これが成田教授の指摘するような機械化によるものなのであれば、少子高齢化と成長率は関係がないと言えます。ただ、2010年代には、日本と同じ成長率に落ちたところをみると、すくなくとも持続性のある原因ではなかったのだと思います。

 韓国は、実は若い国だったのですね。ただ、ADRでみると、日本と同じ道をたどっているように見えます。

 最後に、高齢化スピード(10年前のADRとの差)を横軸にとってみましょう。

 日本は、きれいな直線に見えますね。高齢化スピードが上がれば、成長率が落ちる。

 韓国も同じトレンドにあり、同じ高齢化スピードで日本と比較すると、より成長率を落としているように見えます。

 ドイツは、東西ドイツ統合の90年の数字を使うべきではないかもしれないですね。それを差し置いても、日本と同じ高齢者スピードに直面したとき、日本より高い成長率ではなかったのはないでしょうか。

 これから東アジアの国々が日本を超える高齢化スピードに直面します。まるでストレステストのようですね。この日本の直線(Japan Ceiling)を超える成長率を達成できたら、「よくできました」なのだと思います。

 成田教授が、少子高齢化と経済成長は関係ないと主張するデータが得られれば、また勉強してみたいと思います。