クラウド化する世界
“The Big Switch” by Nicholas G.Carr
翔洋社 2008/10
『Harvard Business Review』(2003/5)の”IT Doesn’t Matter”で話題をさらった著者のコンピューティング論。GPTである電力との比較することで、今後のコンピューティングが、クラウド化すると主張しています。
かつて、工場は川沿いにありました。なぜなら、当時は送電という観念がなく、自社で水力発電機を設置して、工場を稼動させていたからです。電力会社が規模の経済を発揮し、送電網が整備されることで、メーカーは、電力を外部から購入する方が合理的だと気づきます。
同じことがコンピューティングでも起こっています。会社は高層ビルの中にありました。なぜなら、クラウドという観念がなく、自社で巨大コンピュータを設置するためのスペースが必要だからです。しかし、ネットを通じてサービスをする会社が規模の経済を発揮し、ネットワークが整備されることで、企業は、コンピューティングを外部から購入する方が合理的だと気づきだしています。
同じような主張は、モーターで読んだこともあります。すぐれた技術は社会に溶けていく。かつては、化け物のように大きかったモーターは、今では、PC、時計、車と気づかないようなところまで入り込んでしまいました。
コンセントから電気がくるのが当たり前だと思うように、LANケーブルにつなぐと、コンピューティング・パワーが使える時代。Google やSalesforce.comを代表に、さまざまな企業がこの流れの中で、組織形態を変えていくことでしょうね。
では。