The Future of Power Joseph S. Nye, Jr. 日本経済新聞出版社 2011/7
ナイ教授の国家戦略論。ソフトパワーを発展させ、多極化時代の対応を説いています。
21世紀には2種類のパワー・シフトが起こっている。、力の移行と力p.150
力の拡散とは、国家から非国家主体への拡散。インターネット、国際金融市場、環境問題、ドラッグ、伝染病、テロなど、軍事力だけではコントロールできなくなっている。力の拡散の原動力となっているのが情報革命。
コンピュータの処理能力は過去30年にわたって、1年半ごとに2倍になっており、21世紀初めには1970年代前半と比較してコストが1000分の1になっている。自動車価格が半導体価格と同じ律で低下していれば、いまでは自動車1台が5ドルで買える計算になる。p.152
これに対応するのが、スマートパワー。スマートパワーは、ハードパワーとソフト・パワーの組み合わせ。ハードパワーは、軍事力や経済力など強制力を持つものが発揮する国力。ソフトパワーとは、国家間の関係において政治力や文化的影響力などが発揮する国力。
国のソフト・パワーは3つの基本的な資源に大きく依存する。その国の分化、政治的価値観、外交政策である。p.117
非常に参考になります。政府レベルでも、足らぬ所があるのがわかりますが、企業レベルでも、思いつく所があります。途上国に日本企業がプラントを輸出する場合、製品の力だけでなく、「スマートパワー」が必要になってきていますね。
では。