The White Man’s Burden
東洋経済新聞社 2009/9
私は、本書のタイトルを、最初は「かんまん」と読んでしまい、次に「たいまん」かと思い、最後に「ごうまん」と読めるようになりました。震災のせいでしょうか。英語の原題も、”The Tokyo Man’s Burden” と読めば、日本の地方活性化に当てはまるところがいくつもあると思いました。
世界銀行のアドバイザーとして働いた自らを批判しつつ、途上国援助の問題点をしています。問題意識は、先進国からの援助は数パーセントしか本当に必要な人に届いていない一方、経済成長に成功してきた国は援助をそれほど受け入れてはいないという事実。先進国から途上国への開発援助は、戦後累計2.3兆ドルにもなりますが、アフリカ諸国の一人あたりGDPは「減って」います。
著者は、経済発展とは自助努力であり、援助はその側面支援に徹することを説き、政府の温情主義を退けます。途上国問題を解決するビッグプランを提唱する人「プランナー」に対しては冷ややかで、現場の声を拾う「サーチャー」に光を当てています。
私は、この下りを読んだ時に、被災地にいきなり太陽光発電をと大風呂敷を広げる人と、避難所を一つずつ回って必要物資を手書きのメモで集計する自衛隊員を思い浮かべてしまいました。
本書では、膨大な例が紹介されていますが、マラウィの蚊帳の事例(p.19)が印象に残りました。無料で配布された蚊帳は、漁網やヴェールになったりします。しかし、マラウィーでは、ターゲットを妊婦に絞りに50セントで販売しました。看護婦に9セントのマージンが入るように設計することで、販売が進み、蚊帳で寝ている幼児(5歳以下)は55%にまで上昇しました。こうした市場メカニズムの活用を推奨しています。
こうした議論は、日本の過去の話、あるいはヨソの国の話と思って読んでいました。被災地で起こっていることをみると、他国での教訓を自国での復興に役立てなければいけないと思います。
では。