週刊東洋経済 2009/9/26 号 で、毎年恒例のランキングが発表になりました。(東洋経済のページは、こちら)
今年は、3つにランキングが分かれています。今回は、学者・エコノミストが選ぶベスト20。
1.いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ(吉川洋)
アメリカですら、企業を国有化する現代、私たちは経済のことを誰に聞けばいいのか。実は半世紀前の大恐慌に立ち向かった2人経済学者に学ぶことが多いのですね。
本書では、2人だけでなく、オーストラリア学派も含めた経済学者をカバーしており、経済学部出身者には懐かしく読める本です。
2.アニマルスピリット(Akerlof-Shiller)
アニマルスピリットの5つの側面として安心、公平さ、腐敗と背信、貨幣錯覚、物語の5つにわけ、過去の景気変動への影響を考察しています。景気は気からとはよく言ったもので、経済を動かしている根本要因について考えを広げています。景気対策というとすぐバラまいてしまう日本人は有益な本かと。
3.戦後世界経済史
新書で振り返る20世紀後半の世界経済史。世界経済全体を俯瞰するというのは、難しいことですが、新書で実現しているところが秀逸。何が書いてあるかというよりか、何を捨てたかが光る一冊。G20の今後を考える上でも有益な1冊です。
いい本でした。経済学の視点から社会福祉問題を整理するとどうなるか。ビジネスマンでもわかるようにかかれています。長妻大臣が何に取り組んでいるのか知るためにも有益です。
5.ブラック・スワン(ニコラス・タレブ)
5位ですか。出版が遅かったですかね。「まぐれ」で触れた不確実性の議論を進め、金融システムのあり方にまで踏み込んで書いています。日本では、まだ金融の将来像が描けていませんが、そのための必読書だと思います。
6.世界恐慌と経済政策 (鎮目 雅人)
7.金融危機の経済学 (岩田 規久男)
8.なぜ世界は不況に陥ったのか (池田信夫 池尾和人)
妥当なトップ10入り。両先生のブログ読者としては、驚きはないのですが、金融危機の全貌を理解するのに役立ちます。
10.誰から取り、誰に与えるか (井堀 利宏)
タイトルがいいですね。新政権がたくみに避けているテーマを正面から取り上げています。再分配のデータ示して、問題の所在を初心者にもわかるように書いてあります。#4の本とあわせて読むと、理解が深まります。
16. 新しい労働社会(濱口桂一郎)
よくニュースにはなるが、専門家の意見はあまり耳にしない労働問題。存分に、その分析を示してくれています。
マルサスの罠について深い考察をしています。8人生んで2人が生き延びたという事実は、少子化問題を考えるときにも、ヒントになりますね。
では。
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