不況後の競争はもう始まっている―景気後退期の戦略行動とは何か
ボストンコンサルティンググループ ダイヤモンド社 (2009/7)
コラテラル・ダメージとは、
軍同士の攻防の際、本来は無関係な非戦闘員たちに被害が及ぶことをさし、転じて「予想外の損害や波及効果」を意味するようになった。
本書では、サブプライム・ショックの影響を受けた無関係な非戦闘員に目をむけ、企業の対処法を説いている。グローバル企業を念頭に書かれているが、中小企業でも、過去1年の対応チェックリストとして使えます。
ピンチはチャンス。生き延びるだけでも大変な今日この頃ですが、そういう環境こそが、企業の真価が問われる時でもあります。たとえば、大恐慌時のGEの例。
GEは、進行しつつある地方の電化に着目し、家庭用伝統や電気製品に注力することで成長を果たした。また彼らは、大不況後の政府支出拡大の~に乗ることを企図し、TVAで発電施設等の大口契約の獲得にみごとに成功した。
過去にこうして成功した企業がある一方、現代の企業は、不況を過小評価しているといいます(第1章)。このあたりは、先日お話した集団IQも関係してそうです。順調にみえる企業でも、こうした外部ショックがある場合には、「ターンアラウンド」と同じように取り組むべきだ主張します。
第2章では、不況の対処法が述べられています。教科書どおりですが、不況時にこそ、投資をというのは、なかなかできないことですね。
第3章では、金融システムが痛んだ影響が論じられています。金融発の不況は長引きます。大本営発表を新聞で読んでいると、見誤りますね。「信用危機の影響」と「いま打つべき一六の施策」は、目次にありますので、ここだけでも読んでおきましょう。
第4章では、新しい現実を論じています。大きな政府をチャンスとみる必要があるんですね。
不況の話ばかりでは暗くなるのですが、コンドラチェフの波がコラムにあります。
1780 – 1840 蒸気機関→産業革命
1840-1890 鉄道と製鉄
1890-1940 電気
1940- 石油化学・自動車
次回 グリーン技術、ナノ、バイオ
こういう長期の視点も大切ですね。
では。
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