【本】戦後世界経済史

戦後世界経済史―自由と平等の視点から

猪木 武徳 中公新書 2009

東洋経済の経済書BEST20の第3位。1945年以後の半世紀の世界経済を振り替えることができます。日本でいえば1955年体制の終焉、世界でいえばG20の意味を考えるのに有益な本です。この壮大なテーマを新書で実現してしまったところが、画期的でした。

この半世紀は、経済の面から見れば、自由と平等のトレード・オフの歴史でした。自由によって経済が発展すると、格差が広がり、平等を求めて規制が強まる。再分配によって成長が鈍化すると、再び規制が緩和されるというサイクルが、世界で繰り返されてきたのがわかります。

再分配によって貧しい人が救われるのは、誰にでもすぐわかるるのですが、政府の介入によって、経済の効率が落ちることを理解するためには時間がかかる。心ある政治家は、このタイムラグと戦ってきたのですね。

時間軸で読むと、自分が誤解していたことに気づくというメリットもあります。

米国女性の労働力参加率が日本の女性のそれより高くなったのは、1974年の第一次石油危機以降で、それまでは日本女性のほうが家庭外で働く総数の割合は高かった。p.246

では。

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