シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタリストによる日本経済論。冷戦終結の資本主義の変質をとらえ、日本のあるべき姿を簡潔に指摘しています。最新のコンピューティングの話から、バングラデッシュの地域振興までカバーしているので、踏み込みが物足りないところはありますが、ビジョンを示すという意味では、ちょうど良い長さと言えると思います。
参議院選挙のマニュフェストには、これぐらいのビジョンが欲しいところですね。
一番印象深かったのは、PUC(パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ)のくだりでした(P.102?)。
そもそもパソコンという使いにくい機械に人間が合わせていくのがこれまでのパソコンを支えていた考え方だとすれば、人間に機械を合わせていくのがPUCといえるでしょう。
(中略)
PUC技術を元につくられたIT製品の起動は瞬時で、分厚いマニュアルも不要です。パソコンと違って、作業時にいろいろなアpリケーションを立ち上げるといいったこともなくなります。さらにPUCはハードとソフトが一体化しているので、小型かつ省電力の製品もつくりやすくなるはずです。
PUCの特徴に、ハードとソフト不可分ということがり、ここに日本の将来があるのだそうです。
iTunesで、アップルにしてやられた日本のメーカーにとって、こうしたコンセプトを社内で共有することは、大切だと思いました。
コーポレートガバナンスについては、アメリカのマネをするのではなく、良いところだけ取り入れれば良いという立場です。
ベンチャー企業に特化した証券会社(P.238)や、中長期の経営を前提とした新しい証券市場が必要である(p.241)とする提案は、面白いと思いました。