【本】感染症の世界史

感染症の世界史 石弘之 角川ソフィア文庫 2018

 著者は元朝日新聞記者。食物連鎖の頂点に立つ人類にとって、最大の敵は感染症。コロナ後であれば、誰しも実感することでしょう。本書では、人類の感染症との戦いの歴史を学ぶことができます。

 人類が様々な対策を講じれば、微生物も自らの生き残りをかけて変化します。人類が豊かになったのは、協業によって生産性を高めたからです。しかし、過密社会が感染症を誘発してしまっています。

 2014年に書かれた本書の終章は、こう書かれていました。

今後の人類と感染症の戦いを予想するうえで、もっとも激戦が予想されるのがお隣の中国と、人類発祥地で多くの感染症の生まれ故郷でもあるアフリカであろう。

p.342

 2019年にその預言が現実になったのを我々は知っています。中世の黒死病も、中国が感染源という説もあるのだとか。感染症との縁は容易に切れそうにありません。

 

歴史上、戦争で死亡した将兵の少なくとも3分の1から半数は、病死だったと推定される。

p.94

ウクライナの凍える大地で塹壕戦をすれば、いつ病気になってもおかしくありません。歴史から学ぶ重要性を何度も感じる本でした。