菅野完 扶桑社新書 2016/4
日本最大の右派組織のレポート。日本の保守化が、平均年齢が上がったからとかいう単純なものではなく、組織的な運動に支えられているのがわかりました。
その源流は、70年代初頭の右翼学生運動(長崎大学)にあったのを、地道な調査であぶり出しています。当時の左翼学生に対するカウンターから始まった運動が、安倍内閣に影響を与えるまでの経緯がよくわかりました。
日本会議は、巨大組織ではありません。
活動資金が潤沢なわけでも、財界に強力なスポンサーがいるわけでもない。ほんの一握りの人々が有象無象の集団を束ね上げているにすぎない。p.296
とのこと。宗教団体の果たした役割、政治家との関わり、メディアとの連動など、全体像がよくわかりました。最も興味深かったのは、
デモ・陳情・署名・抗議集会・勉強会といった「民主的な市民運動」をやり続けていたのは、極めて非民主的な思想を持つ人々だったのだ。p.297
ということでした。
では。