
新しい階級社会 新しい階級闘争 橋本健二 光文社 2007
今から16年前の貧困を論じた本。読み終えると、お金のある人とない人という分類よりも、全体として貧乏になったという感想を持ちました。
下図のような4つの階級があるとして、分析しています。しかし、この16年間最大の問題はやはり高齢化であったのであり、私もこれほど影響があるとは思っていませんでした。3割が65歳以上という社会が、階級闘争だけでよくなるとは思えません。本書の見立てとは異なり、階級闘争は起こりませんでした。
成田教授のような過激な主張が受け入れられないのであれば、現役世代の生産性を上げるより、ほかに手はありません。さまざまな職業の人がどうやって協力できるのか。

たとえば、オランダのビュートゾルフでは、看護師や理学療法士といった人が高齢者の見守りで協業しています。日本は理学療法士は医師の指導の下にあるのに対し、オランダでは、理学療法士が診察、処方ができます。
病状が深刻であれば、医師の判断を仰ぐことも必要でしょう。しかし、高齢者のように基本、治ることはないような体力の衰えについても、同じ命令系統を維持すべきかは議論があってしかるべきだと思います。
古い本ではありますが、この15年を振り返るには良い本でした。