A Nikkei company

TNW で残念なブースが、日経だった。オランダのルッテ首相がビデオメッセージを寄せるような大規模コンベンションに、最小の場所に、ついたて。日経本体ではなくNikkei Asia名義。台の上には担当者の名刺が置いてあるだけだった。日系企業の欧州展開を象徴するようなブースだったので、もう少し深掘りしたい。

振り返れば、日経のフィナンシャル・タイムズ・グループ買収は、英断だった。日本のメディア企業による海外企業の買収としても過去最大の8億4400万ポンド(約1,600億円)。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)を買収 : Our History | 日本経済新聞社
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Financial Times Ltd の売上高と売上高営業利益率推移は、下図の通り。

買収の前年、赤字だった。2016 – 2021 の営業利益累計も赤字のまま。

 Nikkei Europe Ltd(ロンドン)の2022/12期の損益は以下の通り。

  •  売上高 11百万ポンド
  •  営業利益 0.8百万ポンド

 本業に役立っているようでもない。

 他の新聞社が減収に追い込まれているのに比べれば、まだマシだが、経営書をあれほど出版している日経が、自身の経営で結果がでないというのは、痛し痒し。

Financial Timesのホームページを見ると、”A Nikkei Company” と書いてある。

 https://www.ft.com/

 しかし、FTが2019年に買収した、TNWのホームページを見ると、”A Financial Times company” となっている。A Nikkei Companyをどこまで遡及させるかは、ひとまず置いておいて、こんなお宝を傘下に収めたのに、気づいていない日経本社に、典型的な日本企業のガバナンスを見た気がした。

 いま、AIの進化でメディアは質的な変化を経験中で、どのような企業に進化すべきか、アンテナを張らねばなりません。TNWは、そのネットワークを持っているわけで、日経がそこを活かしていないのは、なんとも残念ではありました。