オランダに住んで3年経ちました。印象に残ることの一つが、都市インフラの素晴らしさです。道路は走りやすいですし、電線は地下に埋まっています。ゴミ捨て場も、地下に埋まっていて、臭わないですし、何曜日でも棄てることができます。
理由はいろいろあるでしょうけど、ウクライナ戦争でひとつの仮説が思いつきました。それは、欧州はみな「コンパクトシティ」なのだと。
下の写真は、ポーランドのクラクフに行った時の城壁です。
常在戦場だった欧州は、城壁を築き、人々はその中に住んでいました。平和な日本は、武士の住む城の周りにお堀をめぐらしますが、城下町全体を囲うことはあまりないですね。
東京で電車に乗っていると、各駅停車が止まるたびに駅前商店街があり、同じような景色が繰り返されます。
しかし、アムステルダム南駅からロッテルダム駅に各駅停車で向かうと、20分ほどで田園風景になってしまいます。その後はライデン駅まで25分間、駅前商店街と呼べるものがなくなります。ライデン駅を出発すると再び畑で、20分後にハーグに着くという感じです。つまり、この「畑」の区間にはインフラ投資が不要なわけです。
東京駅から京浜東北線にのって、40分と言えば、横浜あたりでしょうか。京浜東北線の各駅には、それぞれインフラ投資が必要でしょう。
世界最大規模のメガシティと比べるのは無理があるかもしれませんが、日本人は戦争することは考えずに、住みやすそうであれば、どこでもインフラ投資をしていったのはわかると思います。人口減少期に入って、コンパクトシティにしないと、インフラが維持できないのがわかってきました。
一方、欧州は戦争に明け暮れてきましたので、城壁で守りを固めて住む必要がありました。都市の基本思想がコンパクトシティなのです。当初数日で占領されると思われたウクライナが、都市の守りを固めてロシア軍に善戦している姿を目の当たりにすると、21世紀でもその思想が正しいことがわかりました。