NotebookLMとMOOC

NotebookLMの音声概要が日本語にも対応しました。

ポッドキャスト風に男女2人が軽妙トークを展開するグーグルAI「NotebookLM/音声概要」がついに日本語にも対応、その自然な会話力に震えた!
さまざまな形式の資料をまとめる手助けを行うグーグルのAIサービス「Notebook(ノートブック)LM」。この初版がリリースされたのは2023年7月のことだ。当初は英語版のみだったが、2024年6月以...

また、教育が変わると思いました。LLMは、ペルソナを指定できるので、自分のレベルを指定することで、難しい講義もわかりやすく教えてくれるからです。

たとえば、長谷川祐子教授の最終講義を見てみましょう。

要旨は、AIが教えてくれます。



最終講義「22世紀の美術館」

要旨

この講義「22世紀の美術館」では、現代社会が抱える様々な不安に対し、人々の意識と集合的な知性を高めることで積極的に向き合っていく、未来の美術館像を思い描いています。そこでは、伝統的なアートの展示方法から一歩進んで、訪れる人々が多様な感覚を使いながら「新しいリアリティ」を自らの中にインストールしていくような、「感覚を通じた学びの場」としてのダイナミックな空間を提案します。

目次

  • テーマと背景の提示
    • 講義タイトル:「22世紀の美術館」
    • 現在の社会状況と、変化し続けるの役割についての考察
  • キーコンセプトの紹介
    • 22世紀の美術館を考える上での中心的なアイデア:
      • 感覚的な学び(五感を通して学ぶこと)
      • 共感の空間としての美術館
      • 感性を通じた学びによる「新しいリアリティ」のインストール
      • アーティストとキュレーターによる「関係性の価値」の形成
  • 理論的な枠組み
    • 基礎となる考え方としての、ブルーノ・ラトゥールのアクターネットワーク理論(ANT)の紹介
    • 社会を、人間だけでなく、人間以外のものも含めた多様な「アクター」が織りなすネットワークとして理解すること
    • アクター間の関係性と、「翻訳」(他のアクターが持つ意味や目的を解釈し、伝える行為)の重要性
    • 様々なアクター(領域、専門家、アイデア)を結びつける「翻訳者」としてのキュレーターの役割
  • 具体的な事例紹介
    • 実際の展覧会や、様々な分野の専門家(植物学者、土壌研究者、人類学者、デザイナーなど)との共同プロジェクトから作品を紹介
    • これまで話してきたキーワードや理論が、どのように実践されているかの具体例:
      • 多感覚的なアート作品(匂い、音、振動などを伴うもの)
      • 「人新世(アントロポセン)」という時代区分に関連する作品や議論
      • エコロジー(生態学)と新しい美学に関する多角的な視点
      • データや自然現象を視覚化し、「翻訳」する試み
      • 壊れたものを修復し、そこに新たな価値を見出す実践
  • 新しいミュージアムモデルの提案
    • 未来のミュージアムの姿として、「学校」「ミュージアム」「アーカイブ(記録保管所)」が一体となったモデルを提示
    • 参加者が、感覚的な学び、視覚的な体験、そしてアーカイブ資料を通じた深い探求を通じて、知識を生み出す「エージェント(主体)」となる場所を目指す
    • 海外の事例(例:「グリーン・ミュージブラリー」)にも触れながら
  • メッセージと質疑応答
    • 現代社会が抱える分断や困難な課題に対し、感性と知性が融合する「共創的な学びの場」がいかに重要であるかを強調する、結びのメッセージ
    • 聴衆からの質問に対するより詳しい説明:
      • 学校とミュージアムを融合させることの具体的な意味
      • アート作品の保存方法について
      • ミュージアムが持つユニークな特性(例えば、意味のある対話を育む力など)

論点

「22世紀の美術館」というビジョンは、私たちの未来に対するある種の危機感と、日々、私たち自身の意識や直感を研ぎ澄ませていくことの重要性への確信から生まれました。未来の美術館が担うべき役割は、単にアート作品を展示することに留まりません。それは、多様な知識分野を網羅しながら、私たちが生きるこの現代世界に対する集合的な理解をアップデートしていくための「触媒」でなければならないのです。そして、多種多様なメディアを駆使するモダンアートは、この役割を果たす上で非常にユニークな可能性を秘めていると、私は考えています。目指すのは、私たちが時代の複雑さに積極的に関わり、不確かな現在を乗りこなし、よりレジリエントな(強靭な)未来を協力して築いていくための意識を育むことができる空間です。これは、ミュージアムが未来をただ待つのではなく、未来を積極的に形作るための視点を育み、私たち自身が変化に対応していくためのエンジンとなる、という能動的な姿勢を意味しています。

未来のミュージアムにとって核となるコンセプトの一つが、「感覚的な学び」です。これは、私たちの五感すべてを使って知識や理解を獲得していくプロセスを指します。アートは、その多様な表現方法を通して、私たちに視覚的、聴覚的、触覚的、時には嗅覚的な経験をもたらし、感性と知性のパワフルな融合を促します。このプロセスを通じて、展覧会は経験や意見を交換するための「共感の空間」となり、「新しいリアリティのインストール」が可能になるのです。単に知的に、あるいは視覚的に作品を消費するのではなく、訪れた人々が新しい視点を文字通り「体得する」手助けをすることが、ミュージアムにはできるはずです。情報が洪水のように押し寄せる現代において、これは特に重要な意味を持ちます。アートとデザインは、複雑で学際的な知識を、具体的で知覚可能な経験へと「翻訳」することができます。そうすることで、ミュージアムは、一人ひとりが深い感覚的な関与を通じて、自分自身の「個人的な知識」を育んでいく場所になるのです。

私の考え方の多くは、ブルーノ・ラトゥールのアクターネットワーク理論(ANT)を取り入れています。この理論は、社会を、人間だけでなく、動物、テクノロジー、制度、さらには概念といった多様な「アクター」が相互に関係し合うダイナミックなネットワークとして捉えます。これらのアクターが持つ意味や役割は、ネットワーク内での関係性によって定義されるのです。この文脈において、キュレーションとは、きわめて重要な「翻訳」の行為となります。キュレーターは、アーティスト、科学者、歴史的なオブジェ、現代的なアイデアといった、本来なら出会うことのなかったアクターたちを結びつけ、それぞれの意味を解釈し、再提示することで、観客のために新しい関係性と理解を築き上げていきます。この「関係性の価値」を生み出すことこそが、基本的な活動なのです。それは、個々の要素が持つ固有の価値を超えて、それらが相互に作用することで生まれる力に光を当て、アイデアと経験の「星座」を形作っていくことに他なりません。

22世紀の美術館は、モノや情報をただ受動的に保管する場所から脱却し、「知識生産」のためのダイナミックな場でなければなりません。そこでは、訪れる人々が、自ら積極的に関わり、自分自身の理解を構築し、新たな知識を生み出す「エージェント(主体)」となるような環境を育むべきです。そのためには、多様な視点が共有され、そこから新しい共通理解の「クラスター(集団)」が生まれるような「共感の空間」を創造することが求められます。目指すのは、個人が情報や経験を内面化し、それらを「真の知識」へ、さらには他者と共有し拡張していく中で「知恵」へと転換していく手助けをすることです。これは、あらかじめ用意された物語をただ吸収するのではなく、批判的に関わり、解釈し、そして自分自身の意味の「星座」を形作っていくことを促すようなミュージアム体験を意味しています。

最終的に私が提案したいのは、学校、ミュージアム、そしてアーカイブ(記録保管所)が一体となった新しい形の施設モデルです。この「スクール・ミュージアム・アーカイブ」は、感覚的な学びを通じて知識を生み出し、さらに深い探求のためのアーカイブ的な裏付けを提供することに特化した場所となるでしょう。例えば、あるアート作品から強烈な感覚的体験を得た後、すぐにその作品の背景にある文脈や関連する研究、歴史的な前例などを深く掘り下げることができるリソースにアクセスでき、学びと発見が連続的に続いていくような空間を想像してみてください。この融合が目指すのは、情報に積極的に関わり、自分自身の理解を深め、そして集合的な知性に貢献していく「知識生産のエージェント(主体)」を育成することです。感情と知性が複雑に絡み合いながら、22世紀にふさわしい、よりホリスティック(包括的)でインパクトのある学びとエンゲージメントの形へと私たちを導いてくれる、そのような環境を創造していきたいと考えています。



ただ、私は美術の専門家ではないので、わからない言葉がいろいろあります。そこで、NotebookLMに頼んで、ポッドキャストにしてもらいました。

あなたは、プロのキュレーターです。
聞き手は、美術をこれから学ぶ大学生です。
長谷川教授の最終講義を読み、美術を知らない大学生でもわかるように説明してください。

すると、無料でこんなポッドキャストを作ってくれます。

私は、どちらかというと、文字で勉強したいタイプなのですが、歳のせい?か、ラジオのように説明してもらったほうが、スっと頭に入りました。

これは、自分でも驚きの体験で、教育にダイヤローグ(対話)がいかに有効かわかりました。

私も企業研修などでは、できるだけモノローグにならないように声掛けをします。一方的に話をするよりも、参加者との会話をとおして、ナラティブ(物語)にしたほうが、理解が深まるからです。

しかし、「長嶋監督問題」がありました。名選手は必ずしも名コーチにはなりません。天才プレーヤーは、なぜ普通の選手が自分のようなプレイができないのかわからないからです。

長嶋監督は、スランプの松井選手に電話越しに素振りをさせたと聞きました。受話器からスイングの音を聞いて、「そうじゃない」なんて指導するのは、天才同士にしかできません。

京大のMOOCがぜんぜん回っていないのも、長嶋監督問題があるでしょう。

Kyoto-U OCW
京都大学オープンコースウェア(OCW)は、本学でおこなっている授業や公開講座、国際シンポジウムなどの動画・講義資料を世界に向けて積極的に公開しています。京大の学生や教職員はもとより、大学での学びに興味...

頭が良すぎて、一般の人にどう話して良いのかまで気が回らないと思います。

NotebookLMは、あまり利用されていないMOOCを復活させる潜在力があるのではないでしょうか。「切り抜き」を容認して、レベニュー・シェアを作れれば、価値が伝わるかもしれません。

あなたは、天才漫才コンビです。
聞き手は、簿記3級の受講生です。
この会計学の講義を聞き、大爆笑の解説をしてください。

なんてことは、無料でできるのですから。

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