5-3-1基準

企業で幹部研修をやっていて、地域統括会社の社長になる人材は、5-3-1基準があると思うようになりました。

5つの国に住み

3つの言語を話し

1つの博士号(専門性)を持つ

昭和の日本は、受験勉強を勝ち抜いて大企業に入り、昇進すれば、海外に異動になった時にそれなりの権限を与えられていました。それが、徐々に現地での抜擢に代わるようになると、日本人なので日本企業の地域統括会社を任されるとは限らなくなりました。

実際、日本企業の現法でも優秀な方に会うようになりました。そういう方に共通しているのが上述したような能力です。

1つ目は複数の国に住むことです。理由は異文化を知っていないと、社内の問題に対処できないからです。できれば、4大文明(中華、インド、キリスト、イスラム)を知っているのが理想です。シンガポールのように全部体験できる国もありますが、できれば地域統括会社の社長になるまでに5つぐらいの国に住むのが理想です。

高校か大学で留学。就職したあとに、留学して、海外勤務を経験すると5カ国に近づいていくでしょう。これが重要なのは、文化が本で勉強できないからです。たとえば、four letter words は、親しい友だちの間であれば、日常会話に入ってきます。日本語でも、「今日はクソ熱い」とかは言うでしょう。

しかし、それをテキストメッセージで友達に送り、その文を親が見た時に問題が起こります。自分の娘がヒドイことを言われていると受け取られるからです。現代的な問題ではありますが、こういうことは現地で実際にトラブルにならないとわかりません。相応の地位になる前に、こうした目に見えない文化で問題に対応しておくことがとても大事です。

2つめは、言語能力です。自動翻訳機が発達したので、かつてのように外国語が必須ではなくなってきています。しかし、言語を学ぶというのは、相手の文化に対する敬意を表すことです。また、千時間単位でひとつのものごとに取り組む粘り強さの証でもあります。

3つめが、博士号。私の父の時代には大卒で十分だったと思いますが、今後は博士号が優秀な人材である証になるでしょう。専門性と言い換えてもいいと思いますが、何かの道を極めていれば、社員の尊敬を集めることができるでしょう。