世界は四大文明でできている
橋爪 大三郎 NHK出版新書 2017/10
企業幹部向けの講義をまとめたもの。ビジネスに必要な知識をコンパクトにまとめてあります。海外で仕事をする人必読です。
本書を読む意義は、p.244
日本人は世界で1億人。世界人口は、73億人以上。日本人でない72億人を、日本企業がメンバーとして活用できないとしたら、ビジネスの拡大にとって、大きな大きな制約になるでしょう。
本書で取り上げる4大文明とは、
- キリスト教圏 25億人
- イスラム教圏 15億人
- ヒンドゥー教圏 10億人
- 儒教圏 13億人
合計 63億人
文明の本質とは、p.244
多様で異なる人びとを、ひとつにまとめ、協同させること
以下、それぞれの宗教が、異なる人々を、いかにひとつにまとめたか説明してあります。これが、完結で見事です。
日本は、文明に属しません。意思決定は、空気を読むことで行われるとしています。p.241
キリスト教圏に説明責任がある理由については、p.242。
最後の審判のとき、人間は一人ひとりGodの前に立って、自分の罪について、説明しなければならない。こういう前提でものを考えるので、人間がなにかを決めるときに、説明責任が果たせるように、文書を残しておくのです。
よって、組織に対する意識も異なってきます。
神は、そして主権者である人民や、株主やは、ほんとうの主人であるから、組織のすみずみにまで目を光らせていて当然です。組織が「内」であって、粗織の外が「外」であるという考え方が、彼らにはない。「ウチの会社」などとは、間違っても言いません。p.243
日本には存在しない文明ですが、シンガポールには、世界4大文明全てがあります。
キリスト教圏 イギリス植民地
イスラム教圏 マレーシア、インドネシア
ヒンドゥー教圏 インド系移民
儒教圏 華僑
小さくても、4大文明全てに精通している。それが、シンガポールの強さなのでした。