この夏は、ぽにょだらけでしたが、ジブリの鈴木プロデューサーの本。ジブリの映画が好きな人なら、エピソードだけでも、楽しめるでしょう。
これが、岩波新書から出てしまうのがスゴいところですが、鈴木さんは、元編集長であり、売れるポイントを理解している方なので、とても、岩波らしくまとまっております。
強引に経営と結びつけて考えると印象深いのは、次の一節。
正直いいますと、ジブリがここまで続くとは誰も考えていませんでした。一本成功したら次をやる。失敗したらそれで終わり。設立当初はこういう考え方だったからです。ですから、リスク軽減のために社員の雇用はせず、作品ごとに70人ほどのスタッフを集め、完成すると解散するというスタイルをとりました。
いい作品を作る、これがジブリの目的です。会社の維持・発展は二の次です。p.138
映画ですからと片付けるのは、簡単です。が、究極の労働集約的産業で、若者が必死に働いていることを考えると、日本の製造業にも参考になるのではないでしょうか。
- すばらしい製品を作るのが目的だったのに、会社の維持が目的になってないか。
- 創造性が期待されているのに、創造的なものを作る環境を整えられているか。
ジブリは、次の作品まで半年の準備期間をおき、その間、社員に3分の2の給与を払ったりしています - トップが最も優秀な職人か
ジブリでは、わざと手抜きした絵を宮崎監督が見抜けなかったと辞めるアニメーターがいます。
というわけで、21世紀のものづくりは、やっぱり昭和とは違いますよねと考える本でもありました。
では。