それでもボクはやってない

それでもボクはやってない

監督: 周防正行
出演: 加瀬亮、瀬戸朝香、山本耕史、もたいまさこ、役所広司

脚本とキャスティングがよい映画でした。裁判映画は、絵が地味になるので、そもそもが難しいのですが、『告発の行方』同様、さまざまなな要素をバランスよくプロットすることで、有罪・無罪の綱渡りを最後まで楽しませてくれます。

周防監督の周りには、役者が集まるようになりましたね。加瀬亮さんは、硫黄島からの手紙以来でしたが、監督の意図をよく理解して「ボク」を演じていました。内向的な性格でありながら、理不尽な裁判制度に対して激昂する。報知映画賞の主演男優賞受賞時に

当事者になっても何もできない苦しさを感じた

と語っていますが、この感情コントロールが、作品を上質なものにしていました。
取調べの担当刑事は、大森南朋さんですね。『ハゲタカ』以来でしたが、官僚組織の硬直性を体現した演技でした。

途中交代する裁判官を小日向文世さんが演じています。裁判官の性格を演じ分けるというのは、小道具が少ないので、難しいと思うのですが、一人目の正名 僕蔵さんとの差をキッチリ出していました。めがねの上げ下げで、被告に対する意思を伝えるというのは、非常に高い演技力だと思います。

では。

amazonの書評を読む