日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)
篠田 謙一 日本放送出版協会 2007/2
DNAの分析を通じた人類論。現代の人類がアフリカからどのように分岐し、世界に拡散したかがわかります。
面白のは、単一民族と同質性を繰り返し指摘される日本人の複雑な遺伝子構造。私は「縄文人が済んでいたところに大陸系の弥生人が来た」ぐらいの知識しかありませんが、実にさまざまなルートから日本にやってきているのがわかりました。
ハプログループについては、このあたりを参照。
現代へのフィードバックといえば、
歴史的に考えれば、現在は縄文・弥生移行期以来二度目となる、外部からのDNAの流入と国内での均一化が進んでいる時期であるとも捉えられます。 p.209
とあるとおり、人の移動のグローバル化によって「日本人」が急激に変わっているという点があります。その例として、ハワイが取り上げられています。
ハワイは、人類が世界へ拡散して最後にたどり着いた地域です。p.129
ポリネシアの人たちがやってきたのがいまから1300年前。同地では世界中にあるほとんどのハプログループを見つけることができ、日本もやがてそうなるのではないかと予測しています。
家族類型と合わせて考えると興味深いですね。ハプログループは、ほぼ人類が移動したとおりに分布していますが、直系家族はユーラシア大陸の両端に出ている。権威主義的な文化を育んだのは、遺伝子ではなく風土だったんでしょうね。
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