【本】資源インフレ ☆☆☆

資源インフレ―日本を襲う経済リスクの正体
資源インフレ
柴田 明夫 日経 2006/4

 丸紅経済研究所所長が、現在の物価上昇について分析した本です。原油をはじめとする商品市況が急騰していますが、その背景について勉強になりました。


 商品市況以外のことにもコメントしていますので、若干、焦点がボヤけるところもありましたが、資源関連のデータは、参考になりました。
 たとえば、原油相場は、1バレル70ドル台にまで上昇していますが、P.31には、「原油実質価格指数の推移」というチャートが掲載されています。

原油は名目価格では高いものの、実質価格で見れば1979年の石油ショック時と比べてまだ安い

言われてみれば、その通りですね。
 こうした価格高騰の背景には、BRICsの経済発展があります。

03年末の人口はブラジルが1.8億人、ロシア1.4億人、インド10.7億人、そして中国が12.9億人で、合計27億人となり、世界人口の42%を占めることになる(P.108)。

さらに、P.69では、マルサスの人口論に触れています。
 面白いのは、中国は、人口当たりの資源消費で見れば、まだ「資源小国」だということです。

2005年の粗鋼生産量予想3億4千万トンは、日本と米国、ロシアの3国を合計した規模で文句なく世界最大である。ただ、この生産量を13億人で割ると、一人当たりの粗鋼生産量は約260キロと日本や韓国、台湾などの2分の1から3分の1のレベル(中略)中国の1人あたり粗鋼生産量が日本並みの600キロ程度になったとしたら、それだけで同国の粗鋼生産量は8億トン近くに達してしまい、世界の粗鋼生産のほとんどを中国が占めるという姿になる。(P.71)

というわけで、中国だけを見ても影響は甚大です。
 今後の見通しについては、長期の商品価格高止まりを予測しています。たとえば、中国は、次のような事情があるのだそうです。

中国にとって、毎年1200万人前後の新規雇用を吸収するために、この経済成長9%というのはとても重要な数字である。ちなみに、これは毎年800万人を超える人口増と、農村から工業ぶもんへの労働力シフトをあわせた数字である。一般に中国では、1%成長すれば、新たに約120万人の雇用を創出することができると言われる。したがって、9%であれば、1080万人前後の新規雇用を吸収でき、社会の安定につながる。

 最近、川上の価格上昇が、一部の一般消費材にまで波及してきました。思えば、人類は、人口増加に資源開発が追いつかず、戦争してきた歴史があるわけで、資源の問題と人口動向については、引き続き注視していこうと思います。

 では(^^)/^

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